「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX」を読んだ

はじめに

みんな大好きネットフリックスの無法地帯本を読みました.

結論:自由を続けるには相応の努力が必要でした.

感想

最近ネットフリックスで動画をほとんど見なくなっていたが,この本は読んで良かった.

ネットフリックス社員ではない自分でも,その裏付けや歴史を含めてネットフリックスの文化を知れて良かったと思う.

コンテキストとコントロール.個人的に最近良く聞く言葉.
ネットフリックス的なやり方が適している場合とそうでない場合,歴史的な背景も含めてなるほど理解.

あと,日本におけるフィードバック文化について述べてる箇所なんかは日本の文化的な特徴をよく捉えているなと思った.カルチャーマップが面白いのでぜひ見てほしい.
なんとなく分かっていることが言語化されていると,読んだ後の理解が一気に進んで気持ちよかった.

組織開発,無限に可能性(やりよう)がありそうで楽しみな分野.

「フェルマーの最終定理」を読んだ

はじめに

ガクセイなので初心にかえりサイエンスブックの名作
サイモン・シンフェルマーの最終定理を読んだ

高校生の時に読んでおきたかった!!!!

数学が出来ないくせに大学で情報工学を学んでいたが,講義は理系教養科目を除けば応用的な内容(コンピュータサイエンスを体系的に学ぶカリキュラム)が多く,どちらかといえばパソコンカタカタしている時間がほとんどだった.

この本読んでもっと数学に真剣に向き合っていれば良かったなと思った.これからやるけど

感想

去年末に購入し,隙間時間で少しずつ読み進めて一ヶ月半で読み終えた.
処理能力が低いくせにマルチタスクやりがちな自分にしては中々速いペース
純粋に内容が面白かったのが大きい.サイモン・シンの筆力

本書は,アンドリュー・ワイルズによる「フェルマーの最終定理」の詳しい証明内容が説明されているわけではなかった.数学ができない自分でも内容理解に支障はなく,数学の歴史を踏まえて完全証明に至るまでの物語を楽しめた.

しかも,意外だったのは最終定理の証明に関係する日本人が複数出てくること.
ワイルズも存命だし,こんな天才と同じ時を生きているなんて凄い!という気持ちになった.

なるほどな話

紀元前300年頃,アレクサンドリアに世界で初めて設立された図書館ができた時代
そこの数学部門の責任者はかのエウクレイデス(ユークリッド

あるとき1人の生徒が,「今教えていただいた数学はどんなことに使えるのですか」とエウクレイデスに質問した. 授業が終わるとエウクレイデスは従者に向き直ってこう言った. 「あの少年に小銭を与えなさい.彼は学んだことから利を得たいようだからね」 そしてその生徒は放校となった.

笑えない.自分が知らないことや理解できないに対してはよく言ってしまう言葉かもしれない.これは数論の流れで出てくる話題であり,エウクレイデスの「原論」に触れ帰謬法へとつながるので面白い.

学ぶにふさわしくないものが小銭を握らされ追い出される時代
今ではカネを払っているんだから何をしても良いなんて思ってはいけない(自戒)

「武器としての「資本論」」を読んだ

はじめに

週刊東洋経済 コロナの時代の新教養」で紹介されていた本の一冊
普段は東洋経済は全く読まないが,なりゆきで読むことに
真っ赤な表紙と漠然と資本主義社会に生きる人間として見逃せない「資本論」という言葉に惹かれて購入

武器としての「資本論」

武器としての「資本論」

資本論に関する本を全く読んだことはないが,著者いわく

資本論」が現代資本主義の有様をいかに鮮やかに照らし出すかを強調するために,非常に体系的に書かれている「資本論」の記述順序を無視していくつかの概念に絞った説明を提示しました

とあり,著者が「資本論」を通じて訴えたいメッセージが書かれている本だとらしい.

個人的に気になった箇所の感想を書こうと思います.

生殖までもが「商品化」される

商品でなかったものがどんどん商品化されるようになってきて,その勢いはとどまるところを知らない

ここから資本主義を理解していきました.
昔の人が自らの手で賄っていたようなもの,例えばペットボトルのお茶なんかが商品になる例から始まり,ゆくゆくは生殖までもが商品化されると.

「それをお金で買いますか」

日本の歴史になぞって,いかにして資本主義社会になったのかを説明しています.
明治時代の身分制の廃止と土地の売買の自由化により,土地と人間の商品化への道が開かれ,現代の資本主義へとつながります.ここで,人間は商品を生産する商品となるわけです…

包摂

包摂とは,定の範囲の中に包み込むこと.

労働過程をまるごと資本が形づくってしまった状態を,マルクスは「実質的包摂」という概念で捉えた

生産工程が細分化され,労働者一人ひとりは決まりきった作業をやらされるようになります.これは肉体の動きが完全に包摂されるということだと解説しています.

いつから歯車となって戦う男になってしまったのでしょう…

肉体を資本によって包摂されるうちに,やがて資本主義の価値観を内面化したような人間が出てくる.すなわち感性が資本によって包摂されてしまうのだ

魂の包摂.「個」を喪失した傀儡へ

人間の感性が資本に包摂されてしまうことについては,「新自由主義」(ネオリベラリズム)視点から解説があります.
「小さな政府」「民営化」「規制緩和」「競争原理」などのキーワードだけ置いておきます.

新自由主義が変えた人間の魂・感性・センス

資本の側は新自由主義の価値観に立って,「何もスキルがなくて,他の人と違いがないんじゃ,賃金を引き下げられて当たり前でしょ.もっと頑張らなきゃ」と言ってきます.それを聞いて「そうか,そうだよな」と納得してしまう人は,ネオリベラリズムの価値観に支配されています

これに衝撃を受ける労働者は多いのではないでしょうか?
自身も評価面談で似たようなことを言われました.納得はしませんでしたが,どう言って良いかもわかりませんでした.心の中では,ここに長くいることはないという漠然とした気持ちだけがはっきりした瞬間になりましたが

労働者階級

賃金労働者として生計を立てている限り、私たちは労働者なのですから。その私たちが、労働者のアイデンティティに誇りを持たなくなってしまった。学歴がある、スキルがあるからたくさん稼げる。稼ぎが低いのはスキルがないからで、それは人として価値がない証拠である。そんな低レベルの連中とはさっさとオサラバして階級上昇を目指すのが当たり前だ.

男はつらいよ」を例に,資本による「包摂」の深化を説明していたところです.
階級毎の感性…全く考えたことがなく面くらった箇所で,理解が追いつかず

「有用性」と「価値」,この両者の二重性あるいは対立は「資本論」の重要なテーマ 生産手段を持っていない存在,端的に言えば「仕事がなくて無一文」ということ

受動的な消費者

消費者然としている学生は,決まってつまらなさそうな顔をしています.おそらく人生がつまらないのでしょう. 彼らには「自分で面白いことを見つけて,それを学ぼう」という考えはなくて,「どこかから面白いこと,楽しませてくれる何かが自分を目がけて振ってきて,それを自分を楽しませてくれるのがあるべき姿だ」と思っています

この後に,

「先生の話がつまらない」「何を言っているのかわからない」という時に,「それはひょっとすると自分の知力が足りないためではないか」とは絶対に思わない.

と続いて,大学生の頃を思い出し納得しました.とても耳が痛い.
逆に今は,何故か勉強(出来ないこと)に励んでいるので我ながら良い方向に進んでいるのではないかと思っています.

学生諸君は先生に向かって「こいつは何をわけのわからないことを言っているんだ.」なんて言わないように(戒め)

資本の本質

増えることそのものが資本の本質

「増えることによって,人々が豊かに成る」ことは資本の目的ではない

しらなかった.人々が豊かになることがどうでもいいことだったなんて

労働の価値

労働によって形成される価値 > 労働力の価値
労働力の費用以上の価値を労働者が生成することを,剰余価値の搾取といって資本主義では当たり前

労働者の賃金水準は,労働者自身が生きて,労働者階級が再生産されるのに必要な費用に落ち着く(リカードによる賃金の生存費説)
搾取によって死んでしまう < 賃金 < 金持ちになって働かなくて済む

少ない収入でなんとかしてやりくりして生きていかなくてはいけないという状況の下でそうしたマインドが生じるわけですが,「必要」の水準が自己評価に結びついているため,デフレマインドに陥ることで,自己評価もどんどん低くなってしまう

だめじゃん

資本制と奴隷制

近代社会は「自由・平等・人権」を掲げ、かつてのような人による人の支配を根本的に否定し、人格の尊厳を確立した──と言われています。ただしそれは建前上の話であって、「資本による労働者の支配」という現実があるかぎり、私たちの社会は奴隷制の痕跡を残していると言えます。

さらに封建制を加えて,労働者自身ためのの労働と資本家のための労働について説明しています.
資本制は,資本のために生産性を上げているのに,自分のために生産性を上げていると錯覚してしまう特徴があるので気を付けましょう.(無理)

搾取の限界

19世紀のイングランドで制定された工場法と働き方改革は同じ?
先に述べた労働者の賃金水準が,搾取によって死んでしまうラインを超えてしまったために作られたのだとしたら…資本主義恐ろしい

フォーディズム

高い賃金で労働者を消費者に! 裏には,生産ラインに労働者張り付かせても剰余価値生まないから知力や感性といった能力で剰余価値を生もうという転換
認知資本主義というらしい

普通に働いていればいい時代の終焉

知力の時代到来(イノベーション!)

中流階級没落

ト○ンプ政権爆誕???

でも本書では,イノベーションはその場しのぎだよね…と説明していて,今度はグローバル化により労働力の価値引き下げに活路を見出していきます

おわりに

自分の付けたハイライトを元に感想を書いてみました.
結構,これってどういうことだっけ?と思うところがあり,読み返したりして全然進まなかったので,9章ぐらいまでで諦めました笑
TODO:その時々で感想をメモる

あと労働者の身なので内容がとてもつらかった!
現代のプロレタリアート代表たるエンジニアなんて全く報われないじゃないかとさえ思うほどに.

キャッシュレス化においても,お金のやり取りを全て電子データに置き換えることで,お金のやり取りの記録が残ることなるから,そんなものは調べられるに決まっている!
とか言われて,VISAタッチ便利!とか言って喜んでいる俺って…

最後に一言
俺達は贅沢をして良いんだ!(財布の中身を確認する)

「天才を殺す凡人」を読んだ

ツイッターで流れてきた本
この手のタイトルは食わず嫌いで読んでこなかったけれど勢いで購入

感想としては,期待に反してとても面白かった
最後の読者の感想なんかも◯

芸術と,科学と,モノづくり

経営はアートとサイエンスとクラフトである

なるほど,アートとサイエンスは説明能力に差があるため,直接ディベートさせてはいけないのか

なぜ人は他人の言葉を使うのか

楽だから

でも,他人の言葉を使うとそれっぽく見えるのよね
自分の文章は読み返すのも憚られるくらい拙い文章で悲しくなるので読み返せない

物語

作者も言っているが,この本はストーリー形式
個人的には「ノウハウ」が書いてあるだけの本でなくて本当に良かった
物語だと勝手に色々と想像できるし好き

日本の現状そのもの

こういう言葉にひかれちゃう人にはオススメだワン

「一人称単数」を読んだ

一人称単数 (文春e-book)

一人称単数 (文春e-book)

久しぶりにそれなりに長い文章を読んだ気がする
そしてハードカバーの本を久しぶりに買った

最近はkindleでしか本を買っていなかったのに,立ち寄った本屋で見つけて即決
これが村上春樹マジック

本棚に飾ってある騎士団長殺し読もうかな

「UNIXという考え方ーその設計思想と哲学」を読んだ

はじめに

ツイッターで見かけて気になった本
kindle版が無かったためしょうがなく物理本を購入
スーパーウルトラハイパーできる後輩氏いわく必読らしい

UNIXという考え方―その設計思想と哲学

UNIXという考え方―その設計思想と哲学

  • 作者:Mike Gancarz
  • 発売日: 2001/02/01
  • メディア: 単行本

概要

タイトル通り「UNIXの考え方」について解説した本
小さな単一機能プログラムや早い段階での試作,移植性のあるソフトウェアといった考え方など,「なぜUNIXなのか」という理解を促すような内容になっている

著者いわく,ソフトウェア開発に使われるテクニックは,他分野にも応用できるものが多いと言及していることから幅広い読者と対象としている

感想

まず,著者の名言を一つ紹介しよう

この世界には,大きなプログラムを書くことを生きがいにしているソフトウェアエンジニア技術者がいる.自分以外の誰にも理解できない大きなプログラムを書くことが「職の安定」につながると考え,書いたアプリケーションプログラムの大きさが,プログラマとしての器の大きさを決めると信じているのだ.

著者の偏見なんじゃ…というような笑える名言が楽しい
確かにクラスや関数が詰め込まれたバカでかいプログラムを読むのは大変だし,そんなプログラムは滅びてほしいとは思う
こんな思想でプログラムしてる人が身近に居ないことを祈る

さらに,移植性に関する論理を展開し,移植可能でないものは単に効率が良いだけと言い切るなど爽快

よいプログラマはよいコードを書く.偉大なプログラマは良いコードを借りてくる.

といって,シェルスクリプトで書くことをオススメされた

他にも,エンジニアの時間に言及しつつ

もらっている給料にふさわしいプログラマなら,昔のシェルスクリプトに戻って書き直すことなど忙しくてできるはずがない .それがちゃんと動きユーザーのニーズをことごとく満たしていることならなおさらのことだ .そんな無駄なことをしている時間は人生にはない.

ニンマリの内容である
エンジニアに時間はない!(著者に影響されてきた)

森林を守ろう

ある日,私が厚さ5インチのパルプ加工品を抱え,よろよろと廊下を歩いていると,UNIXグルの上司が私を呼び止めて「そんなにたくさんの紙で何をやっているんだ」と尋ねてきた.私は,「私のプログラムです」と答え,どうです?一生懸命仕事をしているでしょ,と言わんばかりに,上司の顔の前にその紙束を突きつけた.

翻訳のせいかもしれないが,なんだか笑える
自身もGithubに毎日草を生やしています,どうです?一生懸命仕事をしているでしょ,とならない様にアウトプットを意識してやろうな…

おわりに

「人間による三つのシステム」や「プログラムをフィルタとして使う」話などとても面白く多くの気づきがあった

特定技術の思想と哲学についての本を読んだのは初めてだったが,良いものだった

「人生は20代で決まる」を読んだ

出会い

この本との出会いは大学入学してすぐだったと思う.大学の生協に並んでいた本でなんとなく手に取り買った記憶がある.それから数年,この本はほとんど読み進められることがなかった.というか存在すら忘れていた.

ふと社会人になって1年以上が経過し,部屋の本棚にあるこの本を見つけた.
開いた痕跡はほとんどなく,表紙もほぼ新品だった.

表紙にはこうある.

TEDの名スピーカーが贈る「仕事・結婚・将来設計」講義
The Defining Decade 人生は20代で決まる

記憶を遡ると,当時はYouTubeでTEDの動画を見ていた気もする.
購入に至ったのはその影響もあるかもしれない.

あらすじ

著者は,アメリカの心理学者でカウンセラーのメグ・ジェイ.
著者いわく21世紀を生きる若者に向けて書かれた本である.

大きく第一部から第三部までの構成で,仕事・恋愛・脳と肉体がテーマとなっている.
テーマ的にオタクが興味を持つ内容ではない気もするが…

著者のカウンセリング体験をもとに進行していく.日本とは異なる環境の若者達のカウンセリング体験であり,多少背景は異なるがそこは同じ人間である.かなり考えさせられる.

  • 第一部
    大学を卒業した若者達が登場する.登場してくる20代はリアルでまるで自分のことのように錯覚するくらい身近な話ばかりであった.

  • 第二部
    テーマは恋愛だけれど,どうしようもなく地味な話.人間の悩みなんてくだらない.自分も人間だから染みた.

  • 第三部
    脳みその話.前頭葉は20代でバリバリ成長するし,成長するがゆえに陥りがちな思考の傾向があるらしい.
    不確実な状況であってもいかに冷静に考えて行動できるかにかかっいて,不安などのネガティブ要素に侵され人生を良くない方向に進んでいかない様に考える必要があるとの訴え.

感想

仕事に関しては,現在働いていることも相まって自分のことのように考えさせられた.
人生は100年続くかもしれないけれども,20代における選択は重要でけして先延ばしにしては行けないことであると再認識した.

学生で重視されるスキルと,人生に必要なスキルは異なることにはとても納得.一方,学生時代の学びも極めて重要だと思う.
仕事で不安や非力を感じまくっているが,これは20代では普通のことで,むしろ感じないほうが異常だとわかった.

まだ社会に出たばかり,1万時間の経験を積むぞ.
明日の報酬よりも今日の報酬に惹かれないよう,現在バイアスを意識して生きねば.

以上,人生を逆算して生きていきます.

追伸

最後まで読んで気づいたのだが,一度全部読んでいた笑
最初の方は忘れていたけど最後の方の既読感が凄かった.
全然新品じゃねーじゃん.嘘つき.